「バイト、代わりに行ってくれてありがとう。
オーナーの奥さんから凄く助かったってメールが来てたよ」
撫子の体調は大分良くなったのだろう、立ち上がり自分でグラスやフォークなどを持ってきたのを見てイオンは安堵する。
「そうか。元はと言えば俺の責任だ、撫子が礼を言う必要は無い」
そっか、でもありがとうと困ったように撫子は返した。
簡素なグラスにワインを注ぎそれを飲むイオンを見ながら昨夜のことを思い出す。
恐怖心もある、まだ話を信用できてもいない、だけれど興味が勝った。
「ねぇ、本当にイオンはヴァンパイア、なの?」
ためらいがちに撫子が聞けば、イオンは撫子の目を見ながらあぁ、と簡素な返事が返ってきた。



