「オーナー夫婦に食事をどこで買えるか聞いたら弁当屋なるものを教えてくれた。
日本は凄いな、コンビニもあらゆるものが揃っている。豊かだ」
彼はそう言いながら小さなテーブルに合い鍵を置き、次に袋からどんどん品物を出して並べていく。
惣菜にジュースやワインの瓶まで出てきて、一体いくら使ったのかと驚いた。
「イオン、お金は」
「大丈夫だ、全て俺の金だから」
イオンに一切支払いを拒否され二人で食事となった。
どうやらイオンはまかない飯を食べたのでご飯は私のため、酒はイオンのものらしい。
家にワインオープナーが無い事を知ると、イオンは指をすすっと動かしコルクを抜いてしまった。
そんなイオンを驚いてみている撫子に、自分が未だヴァンパイアとは認識されていないのがわかる。
それが当然だと思っているし、善意で助けてくれた娘の血をかなり吸血してしまったことに罪悪感を抱いているはずが、反面またあの血を味わいたくて仕方が無い。それを隠すようにワインを飲む。



