麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる


目の前には私の指から流れる血をすする、人外のように麗しい男。
止めさせなければという理性を打ち消すように、もっとこの感覚を味わいたいという気持ちに侵食されながら意識を失った。

目を覚ますと驚いたことに昨夜とはうって変わり彼は酷く反省していた。
事情を聞いてもピンとこない。
彼は本当に帰ってくるだろうか。
そうしたらもっと話を聞かなければ。

お腹の鳴る音が聞こえ、何か買いに行こうか、いや彼が帰ってきたらと悩んでいたら鍵の刺さる音、そしてドアが開いた。


「撫子、起きていて大丈夫なのか」


イオンの顔を見て何故かとてもホッとした撫子はうん、と返す。
イオンは手に袋を持っていて、そこからは良い香りがする。