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「こちらがランチメニューとなります。
日替わりのメニューはあちらのボードに書かれておりますので決まりましたらお声かけ下さい」
会釈も無く笑顔も無い海外俳優のような男が席を離れ、会社のランチタイムに来ていた常連の女性四人組は呆然とただイオンの顔を見ていたが我に返り一斉に顔を見合わせる。
「何あの王子様みたいな外国人!」
「見たこと無いけど新しいバイトなの?!」
「あの顔と声が味わえるなら一日二回通うわ」
「まずは顔を覚えて貰わなきゃ出逢いは始まらない!」
カウンターに行き人数分のお水を用意していたイオンを見て、オーナーの妻は苦笑いする。
真面目な撫子が突然体調不良なのだと連絡してきたと思うと、代わりに知り合いを行かせるので働かせて欲しいという。
てっきり大学の友人でも来るかと思えば、おとぎ話から飛び出てきた王子様のような外国人の登場にオーナー夫妻は言葉を失った。



