「俺が代わりに行こう」
「代わりって、バイトの経験は」
イオンは真顔で沈黙している。
撫子にはイオンがどこかのお坊ちゃまに思えていた。
何というか世間からずれている感じがする。絶対にバイト経験など無いはずだ。
「撫子はそこで何をしている?」
「主にフロア担当です。接客、配膳。会計は主にオーナーの奥様が担当ですが、混んでいるときは私もします。
貴方にはそもそもそういう経験が無いでしょう?」
ベッドに横たわったまま撫子は床に座り自分を見つめる綺麗な男に言うと、彼は考える素振りを見せ、
「あぁ、執事やメイド達がしていることだな。
旅をしているときにレストランやカフェも行っていたから彼らがしていることを真似れば良い訳だ。
それなら出来る。
さぁ、その店を教えてくれ、俺が代わりに仕事をしよう」



