麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる


ぼんやりと撫子はイオンの言葉を聞いていたが、彼の後ろにある時計を見て気が付いた、今日は昼前からバイトが入っていたことを。
慌てて動こうとする撫子をイオンが止める。


「どうした?水でも飲みたいか?」

「違います、バイトなんです!これから!」


バイト?と意味のわかっていないイオンに撫子は事情を話した。
昨夜も出かけていたのはバイト先のイタリアンの店に行っていたからだ。
今日は昼前から入っているがそろそろ出かけないと間に合わない。
ランチで混むのにお休みしますは小さな店では多大な迷惑がかかる。
イオンの手を振りほどきベッドから撫子は降りると、適当に洋服を掴む。


「脱衣所で着替えてきます。イオンさんは適当に」


まだ身体がふらふらするが何とかしなければと足を踏ん張れば、何故か身体がふわっと浮いた。
イオンは軽々とお姫様抱っこをして、驚いた顔の撫子をベッドに横たわらせる。