撫子が目を開けると見慣れた部屋。
だが一つ違っていたのは、夢かと思っていた人外と思えるほど美しい外国人が自分を覗き込んでいる事だった。
「撫子、体調は」
イオンに言われ撫子が起き上がろうとすると身体がよろけ、すぐにイオンが抱き留めた。
「すまない、血を多く採り過ぎてしまった。
初めての行為で身体が動かないのは当然だ。
本当に申し訳なかった」
撫子を再度ベッドに横たわらせ、イオンは近くに跪くと頭を下げる。
まだ意識がぼんやりしていた撫子はそれを見ながら段々意識が鮮明になってくる。
声をかけた外国人を家に連れて来て料理を作っていて指を切ってその血を彼が。
撫子の頬が急に赤らんだが、今度は表情が変わる。
血を吸われたのだ。
彼も血を採り過ぎたと言った。その意味は。
撫子が強ばった顔でイオンを見ていることで、自分が吸血されたことに気付いたのだろう。怯えたような目をしているのが何よりの証拠。



