~宝生唄~

 気分的に晴れ晴れとした金曜日には、夕食を芽衣子と一緒にすることが多い。

 そして今日は芽衣子の家の近くの定食屋さんに来ており、芽衣子はゴクゴク味噌汁を飲み干して言ってのけた。

「何か利用された感あって、凄くムカつくんだけど」

「……ごめんなさい」

「いやいや、唄じゃなくてさぁ。青木君よ」

 芽衣子には隠し事をしたくなくて、青木君にそれとなく告白を受けたことを伝えると、私が来るために芽衣子を誘ったのだと受け止めて、腹を立てている。

 芽衣子に言いはしなかったのだが、事実、青木君も同じようなことを言っていた。