時間がないため、立ったままデスクワークも当たり前。

 どんな仕事も大変なのは平等だが、いつもどっと疲れを感じながら毎日帰路に就く。残業は当たり前、定時で帰ることは殆どない。

「おはよ」

 そんな中、受付でいつも持ち歩いている自分用のノートを眺めていると、ポン、と上から頭を緩く叩かれた。

 顔を上げると、上司の大原英介(おおはら えいすけ)が、笑顔でこちらを見下ろしている。

「あっ……おはようございます」

「今日も早いね。まだ皆来てないのに」

「朝の段取りがあって」

「俺に手伝えることあったら、言ってね」

 落ち着いた笑顔を見せる英介さんは、私の恋人と呼べる特別な存在の人だ。