──でも、気付くのが、遅過ぎた。

 ようやく顔を話すと、尋常じゃないくらい真っ赤な顔をしている宝生が涙を浮かべていた。

「……ごめん、泣かすつもりじゃなかった」

「……ううん、泣いてない」

「これじゃあ、青木と一緒だね。ホント勝手にごめん」

 起き上がると、宝生も引っ張り上げ、食器をキッチンに運ぶ。

 固まったまま動かない宝生を横目に、サッと食器を洗って鞄を持つ。

「ごめん、帰るね」

「あ……う、うん」

「勝手なことして言えることじゃないけど、俺のこと、避けないでほしい」