「宝生さん、おはよう」
「おはようございます」
私の勤める家具の輸送会社は、都心部から電車で離れている、だだっ広い田んぼの広がる田舎街にある。
2017年、春、五月を過ぎ、空気は澄み渡り、気候は過ごしやすくなっていた。
新年度には高卒の後輩が入ってきて、入社一年経ったとは言えど、まだ失敗は多い。
早朝こそ少ないが、午前中は荷受けに訪れるドライバーさんは多く、受付前に行列ができることも屡々で、テンパってしまうこともある。
所謂”受付嬢“と言われる業務だが、座って案内や放送をする仕事ではなく、伝票を担当者に渡すために走りながら受付をする、思っているであろう受付嬢とは違う仕事だ。