宝生には大事な彼氏がいて、青木だって宝生のことが好きで、自分など見ている暇ないだろうに。

「ありがとうございました」

 今日も無事にレジ業務を終了し、午後九時を過ぎた頃から片付けに入った。

 食品の陳列と掃除を終え、打刻をすると一日終わった感があって、ホッとする。

「お疲れ様でした」

 駐車場にて店長や社員達と別れ、変わりかけた横断歩道を急いで渡る。

 そして通り過ぎようとしたコンビニの前で、俺達は偶然バッタリと顔を合わせてしまった。

「「あ」」

 制服姿の宝生がちょうど店内から出た所でお互い目が合い、立ち止まる。