~久我雅~

 何を急に意識しだして、どうかしたのだろうか。

 特に大きなきっかけはなく、あの時こうしていたら……ということをぼんやり考えている所で、鬼頭が宝生に詰め寄って、可哀想になって庇っただけだ。

 宝生がこのメンバーの輪から外れてしまうのは、寂しいと思っただけだ。

 しかし、キャンプから帰ってから一週間過ぎて、宝生がパタリとスーパーへ姿を現さなくなってしまった。

 それは、俺があの夜、宝生のことを引き留めて、変なことを言ったから……としか、考えられない。

 既に遅い昔のことを引っ張り出して、都合良く言い寄ったからかもしれない。

 ──何やってるんだろ……。