その日の昼休み、瞬く間に噂が広がってしまい、私は社員に背中を押され、初めて英介さんと二人でお昼を取ろうと社食を出た。

「見られちゃったから、もう仕方ないよね」

「……ですね。いつかはこうなるかもって、話をしていましたし」

 コンビニでお弁当を買って、近くの公園のベンチで包みを広げる。

「あー、美味い。社食もいいけど、外でお弁当食べると美味しいね」

「私も美味しいです」

 結婚、という具体的な話をされることにどこか引っかかっており、自ら話題を振ることはない。

 こんな気持ちのまま、お願いします、とはとてもじゃないが言えない。

 ──っと、焦りと不安の気持ちで箸を持ち上げたままでいると、ブルルッと携帯のバイブが鳴った。

「……芽衣子だ」

「ん? 皆でどこかに行こうって話になってる感じ……?」