飲んで、のまれて 愛されて




「茉莉、大丈夫?」



私はトイレから出てきた茉莉に問いかけた





「んー。おなか痛くなってきたからまた胃腸炎再発したんかなあ…」



茉莉は自身のお腹をさすりながら答える




「裕太に迎えに来てもらう…?」



私はここに来て裕太の名前を出してみた



「いや!裕太は今日、大学の飲み会らしい…イテテ…」






…嘘だ

裕太は今日1ヶ月記念日の茉莉が欲しがっていたプレゼントを買いに行ったあと
サプライズをする為に自宅で待機しているのだから



寝てる可能性はあったとしても
飲みに行っている可能性は0だ。





この時点で私は茉莉がクロだと気付いていた




私はこれ以上茉莉の嘘を重ねさせたくなくて
茉莉の嘘を聞きたくなくて



心の中で裕太に謝罪しながら
体調が悪いなら先に帰ってもいいよと茉莉の早退を許した




茉莉は
ごめんなぁ…と言いながら女にしか分からない程度にメイクを直して家とは少し違う方向へ曲がりながら帰路に着いた。





私はその日そのまま1人で締め作業を終わらせた