飲んで、のまれて 愛されて

店に戻ると先程の騒がしさとは打って変わって
スタッフだけになっていた


今日一日の努力をかみ締めつつカウンタに腰かけてタバコに火をつけた


すると後ろから何かが飛んできた


痛ァっ!!


後ろを振り返ると先程のギャルと純がダーツをしていた


まだお客さんがいたなんて全く気付いていなかった

俺はいつもの調子でおちゃらけながら先程のギャルに謝罪をする



ギャルに名前を聞くと
朱羽と名乗った


朱那と同じ朱の字が入る女の子
嫌でも朱那のことを思い出す


この気持ちを誤魔化したくて朱羽ちゃんにダーツを挑んだ



割と上手くて久しぶりに本気で勝負ができた


ギリギリのところで勝利を収めた俺は
約束通りテキーラをショットグラス並々に注ぎ朱羽ちゃんの前に差し出した



朱羽ちゃんはそれを一気に注ぎ込んだ


大丈夫?と心配したが朱羽ちゃんは
しかめっ面で 大丈夫ですと返してくれた


女の子相手にちょっと酷いことをしたなと反省しつつ


買い出しに出かけた蓮を待っている間
朱羽ちゃんと色々な話をした



自分のことも含め
朱羽ちゃんの話も沢山聞いた


先月から居酒屋の店長を任せてもらってること
親友と共に店を盛り上げようと頑張っていること


聞けば聞くほどまだまだ発展途上のうら若き少女だということがわかった



話しているうちに朱羽ちゃんの顔が真っ赤になっていくことに気づく


「朱羽ちゃん!顔真っ赤やん!」

そう言いつつ俺は朱羽ちゃんの真っ赤になったほっぺを自分の手のひらで挟んだ

朱羽ちゃんは驚いてそのままカウンタかーから立ち上がった


立ち上がると同時に後ろにそのまま倒れてしまった


「うわ!朱羽ちゃん!?!?」


心配してカウンターからでて朱羽ちゃんに駆け寄ろうとすると

蓮が戻ってきた。


ソファーでは純が潰れて居るし
朱羽ちゃんは倒れ込んでいて

俺は慌てている


蓮からすると訳が分からない状況だろう