なんとなくずっと先輩のことが気掛かりだったけど、数日経って、校内で元気そうな先輩を見かけて安心する。

良かった。元気になったんだ。


「なーに見てんの。」


紗良(さら)。」


「あ、城山先輩?」


「うん。前すごく体調悪そうなところに出くわしたから、元気になったんだ、と思って。」


「へぇ。てっきり付き合うとまではいかなくても、結構いい感じなのかと思ってた。」


「いや、そんなんじゃないよ。」


「でもそう思ってる人は多いかもよ?
前先輩が教室に来た時から、1年の教室で城山先輩が女の子と話してる〜って話題になってたし。」


「そうなの?」


「そうだよ。ほんと芽衣はそういう話に疎いね。
でも気をつけてね。先輩のファンって沢山いるみたいだし。」


「気をつけるって?」


「ほら、よくあるじゃん。私が狙ってたのに〜的な?」


「大丈夫だと思うけどなぁ。」


「そうだといいけどね。
…あ、先輩こっち見た。」


紗良の言葉で先輩のいた方に再び視線を戻すと、先輩は笑顔でこちらに歩み寄ってきた。


「秦野ちゃんこんにちは。」


「こんにちは…。」


「秦野ちゃんのお友達も、こんにちは〜。」


「こんにちは。」


「秦野ちゃん。この間はごめんね、デリカシーないこと言って。
体調悪かったって言っても、女の子にあんなこというのはさすがに良くなかった。」


「そんなのいいですよ、気にしてないです。」


「ありがとう。
もう元気もりもりだから!心配しないで。」


「はい、よかったです。」


じゃあ、と言ってまた戻っていく先輩。


「私初めて城山先輩と話した。」


「そうなの?」


「そうだよ〜。
学年も違うしあんなイケメンと話す機会なんてあるわけない。」


「まあそれもそうだよね。」


私もこの前までそうだったし。

あの日あの光景を見てしまった時は人生終わったと思ったけど、先輩が優しい(?)人でよかった。