「先生やばい!火事!!」

「全員避難しろー!」


クラスメイトは慌てて化学室の扉に向かって行く。私も当然その群れに駆けて行く。

その時だった。慌てて走ったせいで、足を思い切り捻る。捻挫だ。


「いっっ……!」


すると、私の体が宙に浮く。


「じっとしてて」


廉くんがお姫様抱っこの要領で持ち上げ、避難し始める。


「え、いや…大丈夫だって……!」

「いいから俺に助けられといて」

「あ、はい…」


周りの視線は少し気になったけど、大人しくしておいた。第一、足がジクジク痛むせいで歩けるかどうかも怪しい。

校庭に出て、避難を終える。先生は消火器で火を消し止めているようだ。


「あの…」

「ん?」

「いつまでこれ続けるんですか……」

「下ろしてほしいの?」

「…人の目もありますし?」


そう言うと、意外にも普通に下ろしてくれた。
足をつけると、ジンっと痛みが広がる。


「いった……!」


思わず廉くんの腕に掴まる。


「大丈夫?」

「ちょっとだけ、腕借りていい?」

「いくらでもどうぞ」


少し嬉しそう。あの告白はやっぱり…と期待してしまうほどに。