そのまま半ば何事も無かったかのように、そそくさと立ち去ろうとした。
「あゆみ」
名前を呼ばれた。この感覚、あれだ。お母さんに疾しいことがある時に、お母さんに名前呼ばれた時の感じに似てる。
「な、なんでしょう…」
「呼んだらどんな反応すんのかなーって」
「あとは…?」
「え、それだけだけど」
意味分かんないー!
とりあえず国語のノートを先生に持って行く。
翌日、化学室で実験ということで、廊下を歩く。
「移動めんどくさいー」
美沙が少し仰け反りながらそう言う。
「休み時間潰された気持ちになる」
「あー、んね。ほんとそれ」
授業が始まって、そうだ忘れてた。
廉くんと同じ班だった。しかも隣の席同士。
頭を抱えたくなった。
何でよりによって…このタイミング!
何故か知らないけどニコニコしてるし。とても機嫌が良さそうだ。
実験が始まって、隣の班がワチャワチャしてる。
「これとこれ混ぜたらどうなんだろー!」
「やってみろよー!」
「なんなら全部混ぜようぜ」
なんとなくだけど、本能的に嫌な予感がした。
次の瞬間、爆発音がした。パリーンと試験管が割れる。そして、火を放った。



