謎に独り置いていかれた私。


「どうしろと……」


途方に暮れた。


翌日、教室に入るといつもの風景が広がっている。ああ、やっぱあれは夢だったんだ。


「おはよー、あゆみ」

「美沙おはよ」


自分の机にリュックを引っかけていると、美沙が駆け寄ってくる。


「なんか寝不足気味?ちょっと目元くまっぽくなってるぞー?」

「いやー、変な夢見てさ」

「変な夢、なるほど」


そりゃ寝不足にもなるわ、と頷く。

ふと廉くんに目をやる。

いつものメンバーに混ざりながらも、こっちに目を向けていた。

ビックリして机の裏に膝をぶつける。


「いだっ」

「どしたのあゆみ!?」


膝を抱えていると、廉くんはまた珍しい微笑みを見せている。

まさかのまさかだけど、あれ夢じゃなかった感じ?そんな感じ?


「廉、そっぽ向いて何ニヤついてんのー?」

「いやちょっと、面白いの見ちゃったなーって」


視線が一気にこっちに来る。


「え、何」


美沙が少し引いたような声を出す。


「特に何もねーだろ…?廉には何見えてたんだ」

「俺だけ知ってればいいのさー」


肘をついて、今度は私じゃなく、反対側にある窓の方に目をやった。

ほんとに不思議な人だ。


「何だろうね、面白いことってね」

「…ねえ?何だろうねぇ…?」


当人こちらです、多分。