好きです、付き合って



HRでうっかり寝てしまった私は、ポツンと教室に残されていた。

誰か起こしてくれてもいいじゃん!起きたらこれだよ、何でよ!

1人で頬を膨らませて、帰り支度をする。

でも教室にいるのは私だけではなかった。
その彼は椅子に座って、後ろの机に肘をついている。

梅原廉くん。関わりはほとんどないけど、クラスで目立つ男子グループにいるからなんとなくどんな人物かは分かる。表情にあまり動きがないためか、どことなくミステリアスな雰囲気がある。

電気のついてない教室に2人きり。
そして何故か私の方を向いている。目が合うほどこちらは見てないけれど。

まあ、見る理由も無いか。接点なんてまるで無し。おまけに私は眺めていたいような美少女でもない。

さて、身支度も終わったし帰ろ!
リュックを背負って椅子をしまう。教室を出ようとする。


「上原あゆみさん」

「はい」


急にフルネームで呼ばれて、反射的に返事をする。返事をしながら振り向くと、梅原くんがいる。スクールバッグを後ろ手に持って、何考えてるのか分からない顔で見つめてくる。