「あいつ鈍感であんなんだもんな。多分恋とか分かってないだろうし。」
流さんが困ったように言う。
彗に"恋愛的な好意"が全くないことは手に取るようにわかる。
大切な幼馴染だから、特別優しいだけ。
「…そうですよね。」
「本当どうしようもないね、彗は。」
宙さんが困ったように笑うから、
「本当ですよ…そんな彗を好きな私もどうしようもないですけど」
って笑い返す。
「間違いなく海ちゃんは特別なんだろうけどね!」
恒さんの言葉。特別なんてことはわかってる。
「まあ、海ちゃんが嫌にならん限り、側にいてあげて?」
銀さんの落ち着いた声が届く。
「はい」
…嫌に、なる日なんて来るのかな。
でもきっと彗は私のこと好きになってくれないだろうから、いつかは前に進まなきゃ行けないんだろうな。
あいつも早く気づけよ、って呟く流さんの声は私には届かなかった。