あんなに忙しいのに、いつの間にこんな魅力的なダンスと、複雑なフォーメンションを覚えたんだろう。きっと私の知らない彗がいるんだ。


いつも何もしてないみたいに涼しく笑ってるのに、裏でありえない努力して、全て完璧にこなしちゃうんだね。



気がつけば彼らの曲とダンスに笑顔になっていて、


私は終始、彗から目を離すことが出来なかった。



ああ、これだから来たくなかったの。



彗がこれ以上、異次元の存在だって知りたくなかった。



泣いてしまうファンの子たち、輝く汗、真剣に踊る姿も、笑顔でファンに手を振る姿も、




…見たくなかった。











コンサートが終わり、帰ろうとしていた時、夜川さんに呼ばれてバックヤードまで連れてこられた。


「あの、ここは?」


「少々お待ちくださいね。」


連れてこられたのは、たくさんのスタッフさんが行き交う通路。


夜川の笑顔に待っていると、前から歩いてくるのはさっきまでステージで歓声を浴びていた5人。


…オーラがすごい。


笑いながら歩いてくる5人。もちろんその中に彗はいて、私の知らない顔をしていた。