「うん。駅から歩いてたら、彗くんが車で通りかかって、送ってもらった。」
20歳であの車はすごいなぁーって感心してる。
「…そ、そうなんだ」
「いやー、久しぶりに会ったらイケメンに磨きがかかってたな。」
あれは誰でも好きになるわ、って少し意地悪な顔をするお父さん。
仮にも娘の好きな人のことを、娘にそんなふうに言えるよね…
「じゃあ、熱の話も彗から?」
「うん、彗くん海のこと心配してたぞ。甘え下手だって」
まさか本人から聞いたとは…
「…ゔ」
「しっかりしないといけない性格にしてしまったのは父さんだな。」
少し落ち込んでいる様子のお父さん。
「お父さん…」
「でも父さん、彗くんなら海の全てを受け入れてくれると思うんだ。それくらい彗くんは海のこと思ってる。…海もそれくらいわかってるだろ?」
恋愛的な意味ではなく、もっと深い意味でね。
異常なくらい、私のこと大切にしてくれてると思う。
「…わかってる。」
「頼らないことが彗くんのためになるとは限らない。だからもっと彗くんを頼りなさい。」
頼られて嬉しい、それは私も同じだからわかる。
彗のためにも、頼る、か…