『うるさい』
そういつもより低い声に一蹴される。
「なっ、」
『俺の車の前集合な。』
つまり、大学の駐車場まで来てってこと。
「ちょ、」
反論の隙もなく切られてしまった電話。
諦めて駐車場までいくと、もう車の前にはコンビニの袋を持った彗が待っていた。
中にはスポーツドリンクとか諸々が透けて見える。
きっと私のために買ってくれたんだろう。
「彗、本当に私大丈夫だから」
「そんな顔真っ赤で大丈夫なわけないだろ」
真っ赤?たしかにいつもより寒気がするし、ポカポカもするような独特の感覚がある。
「いいから、乗って」
いつもヘラヘラしてる彗とは違う真剣な顔に違和感を覚える。
「ごめん…」
そういって車のドアを開けて乗り込む。
「…なんで後ろに乗んだよ」
運転席に座った彗が、振り返ってそう言ってくる。



