「ただいま〜」


静かに玄関を開けると、



「遅いと思ったら、彗兄と一緒にいたんだ。」


仁王立ちで玄関前に立っていた弟。



「…光、まだ起きてたの?」



「ん、勉強してた。」


私の弟、天王寺光(てんのうじひかる)、絶賛受験生の中学三年で絶対行きたい志望校があるとかですごく頑張ってる。光は超美形で端正な顔立ち。学校でも割とモテているらしい。


私のお母さんは7年前に病気で亡くなっていて、お父さんは私たちを育てるため海外を飛び回っているから、家には基本、私と光の2人。きょうだい力合わせて生活して来た。



「彗に頼まれて色々してただけだよ」



「ほんと、健気だね」


目を細めてそういう光。


わざわざ口に出して言わないけど、光は私が彗のこと好きだって知ってる。



「う、うるさいなぁ」



「じゃ、俺は寝るわ」



「うん、おやすみ。」


そう言って光は自分の部屋に戻っていった。


…私もはやくお風呂入って寝よう。