「いつも思わせぶりばっかりだったじゃん」



「うん。海の気持ちも、自分の気持ちもなかなか気づけなくて、傷つけてごめんな。」



「そんな…し、信じられない…」



「そう。じゃあ、仕方ない。」



にやっと弧を描く整った唇に釘付けになる。



「へ?」



「キスして理解させるしかねぇな」



言葉を理解する前に、迫った顔。



2度目のキスは、



ゆっくりと優しく、



愛情に溢れるものだった。




名残惜しそうに離れた唇に、放心状態になっていると、




「海、好き。」



「っ、」



こんなにストレートに飛んでくる言葉の躱し方なんて知らない。



「俺は自分勝手だから、忘れてなんて言ってやんない」



「彗が、私を好き…?」



やっと理解した私は、夢見心地でふわふわした感覚に陥る。



だってあの彗だよ?



大人気アイドルで、天然で、タラシで、思わせぶりで、恋なんて知らなかったくせに。