「ちょっと、ルナさんさすがに性格悪すぎ」
呆れた様子で宙さんが呟く。
「え、何が〜?」
って確信犯は笑顔を振り撒く。
「海」
その掠れた声に彗のほうを見ると、まるで私しか見てないかのようなストレートな視線
「…何」
「なんで泣いてんだよ」
いつになく、真剣なその表情
頬を伝う涙を、彗は見逃さなかった。
「へ…?今はっ、そんなのどうでもいいでしょ…?」
私が泣いてることなんて、どうでもよくて、
この状況と、
バレてしまったことが一番の問題なんだから。
「良くねえよ。なんで?」
互いに揺れる瞳が絡み合う。
彗には、驚く暁月さんも、私たちの秘密を暴露したルナさんも、上着を持ってきてくれた宙さんのことも眼中ないみたいだった。
ただその澄んだ目で、私だけを映して、私のことしか考えてないんだ
「だから…もう」
そうやって、いちいち特別扱いしないで、
好きが増してしまうだけなんだよ。
学習能力のない私は、ときめいて期待してしまうの、
それが、苦しいの。