「海は座ってて!」




「…わかった」



仕方ないので、キッチンが一望できるソファに座って観察する。



「包丁使う時は猫の手するんだよ」



「わかってるって」


そう言って笑うけど、本当に分かってるのかどうか…



さっそくスマホを見ながら、何やら色々やってる様子の彗。



あー…危ないっ。怖い。



つたない手つきにハラハラして、気が気じゃない。



「海」



「何!?」


名前を呼ばれて何かあったのかと、飛ぶ勢いで立ち上がる。



「塩胡椒少々ってどれくらい?」



「…それ、砂糖じゃない?」



彗が持ってるのは、砂糖って大きく書かれた袋。



「え?そうなの?」


「書いてるじゃん。…しかもその純白の中に胡椒の要素ないでしょ?」



「…あ、ほんとだ」



ちゃんと見てなかった、ってへらり目尻を下げて笑う彗。