「あ、星野彗だ」
陽子ちゃんのその言葉に体が硬直する。
ハッと見ると、私がこの間見ていた広告。
…なんだ本人じゃなくてよかった…って当たり前か。こんなところにいるわけないよね。
まだ彗とはなんの連絡も取ってない。たまに大学に来ているのを見て生存確認をしてる。
一応教育係だし、ってレジュメをもらうことはやめてないけど、渡せるわけもなく溜まる一方。
「かっこいい!写真撮ろ!」
って明里ちゃんが、スマホを取り出す。
その瞬間、
「あれぇ、海じゃない〜?」
「え、」
その甘ったるくて甲高い声、忘れたくても体が勝手に震え出すその存在。
振り返らなくったって、誰かわかる。
「沙輝だよぉ〜、覚えてる?」
ゆるふわに巻かれたブラウンの髪、ブランド物のカバン、長い爪、風に靡くプリーツスカート。
久しぶりぃ〜、って小さく手を振ってくる。
息が、出来ない。



