なんとか心を落ち着かせようと、目を瞑っていると、
「海」
聞こえてきたそのハスキーな声に、体を起こすと、開いている窓から覗く彗の姿。
…まったく!
「ちょっと、勝手に開けないでっていつも言ってるじゃん!」
「わりぃわりぃ」
だって鍵閉まってなかったから、って。
絶対、悪いって思ってない謝り方。
「はぁ…何?」
「ん?海におやすみって言ってから寝ようと思って。」
久々会えたんだし、って。
なにそれ。本当に勘弁してほしい。無意識って重罪だよ。
「っ、」
「海?」
「…なんでもない!おやすみ!」
目を見てそう言ってあげると、
「ん、おやすみ〜」
満足げに緩く笑って、窓を閉めた彗に胸がきゅうって締め付けられる。
彗とは幼稚園からずっと一緒で、この天然たらしも生まれ持ってのもの。
本当、魔性の男だよあれは。