「じゃ、俺、帰るから」
颯爽と車に乗り込み、暁月さんが羨んでいたハイクラスの車に乗って帰って行った彗。
…なんなのあれ。
「はぁ、」
無意識に出た大きなため息に、家の前で頭を抱えてしゃがみ込む。
ほんと色々掻き乱してくれるんだから。
「なんだあれ。」
一部始終を見ていた光が不思議そうに呟く。
本当だよ。
どこまで行っても幼馴染なのは分かってるけど、いちいち胸が高鳴る私の身にもなってほしい。
「面白くなって来たな。」
「どういうこと?」
にやっと笑う光に、頭がついていかない。
「ん?知らねー。さっ、勉強しよ」
しゃがみ込む姉をほったらかして、家の中に入って行ってしまった。
…むう、薄情なやつめ。