魔女の住処にたどり着いたのは日が沈んだ頃だった。

隠れながら移動して2回ほど兵に遭遇してしまい、その都度2人が対処した。

魔女がいるかもわからなければ、あってくれるかもわからない。

妹が起こしたクーデターなら、ここに来ることはわかっているだろう。

扉をのノックする

返事はなかった

「どちら様」

背後から声を掛けられる

振り返ると女性が立っていた

モノトーンの服装に黒くて長い髪

年齢は30代後半くらいだろうか?

私「あなたは・・・」

魔女「わたし?ここの家の・・・あれ?あなたお姫様・・・今日は結婚式じゃ・・・」

私「だったんですが・・・」

魔女「まぁ、中に入ろうか?」

連れている2人を眺めながらカギ開ける

魔女「その姿でここに来たってことは・・・」

私「兵たちの反乱が・・・」

魔女「反乱ね・・・そっちは王子さまと?」

姉「これの姉です」

魔女「そう・・・それで3人で逃げてきたと」

私「はい」

王子「おそらくは東の国と南の国が手を組んで・・・」

魔女「・・・あなたは東の国の第2王子じゃないの?」

王子「ええ・・・たぶん必要なくなったのでしょう」

魔女「そう・・・それで?」

私「え?」

魔女「どうしたいの?」

私「どう?・・・ですか?」

魔女「国を取り返したいのか、他の国に逃げたいのか・・・他に何かある?」

私「あ・・・」

3人で顔を見合わせる

姉「どこかで静かに暮らすのもありか・・・」

魔女「その選択肢が一番いいかもね・・・手伝うこちらも楽でいいし」

私「助けてくれるんですか?」

魔女「あなたのお母さま・・・王妃には借りがあるからね・・・」

私「国を取り返したいといっても助けてくれますか?」

魔女「取り返してどうするの?東と南の国を相手に戦うつもり?」

私「・・・」

たしかに取り返した後どうするか軍と役人のどこまでが絡んでいるかわからない

魔女「王子様は?」

王子「・・・王子ではないが・・・少し考える時間が欲しい」

姉「あなた達・・・国の関係とか意味が無くなったから婚約する必要ないけど・・・どうする?」

私「・・・え?」

そうだった、「愛を誓う」前の問題でこの「結婚の必要」がなくなった

いろいろと心の準備をしたのに全て無意味だった

魔女「そういえばあなた方、歳は?」

王子「俺は22」

姉「私は24」

私「・・・20です」

魔女「・・・そう」

姉「どうかしましたか?」

魔女「いや結婚の話をしてるからいくつかな・・・と思って」

ドアをノックする音が聞こえる

魔女「・・・あなた方のお客さんかしら」

姉と王子が剣を構える

兵が3人部屋に入ってくる

姉が1人と応戦して

王子を2人が襲う

魔女「外でやってほしいな・・・」

そういいながら部屋の隅に置いてあった杖を手に取って魔法を唱え始める

王子が剣をはじかれて倒れた

兵が王子に剣を突き刺そうとした間に割って入る

胸を突かれる

あれ?私は何をしているのだろう・・・

冷たい金属が胸に刺さっている

剣が抜かれる

赤い血が白いドレスを染める

なんだこれ?

その場にいた全員の動きが止まる

崩れ落ちた私を王子が背中から抱いた

剣を引き抜いた兵士に魔女が魔法を打ち込む

兵が後ろの壁まで吹き飛ばされる

兵「姫はやったのか?」

姉と対峙していた兵が声をかける

兵「たぶんな、あれなら助からん」

壁に叩きつけられた兵が答える

兵「なら仕事は終わりだ」

そういって3人は部屋を出ていく

姉「待て」

追って部屋を出ていく

王子「どうして?」

私「だって・・・私の大切な人だもの・・・」

魔女「あらら、これは致命傷かな・・・」

胸から血があふれている

王子「どうにかできないのか?」

魔女「どうにか・・・か、できなくはないかな・・・」

王子「なら」

魔女「なんでもする?」

王子「・・・あぁ」

魔女「なら、私を抱きなさい」

王子「わかっ・・・は?」