うとうとしていたらしい

日が傾きだしている

姉は戻っていない・・・

・・・結界がはってあるのか?

外を覗くと不機嫌そうな姉がいた

扉を開けて迎える

姉「酔ってる?」

王子「少し」

姉「何をしてたの?」

王子「・・・寝てた」

答えに失敗したか・・・間違ってはいない

姉「・・・お姫様は」

王子「生きてる」

姉「そう」

王子「彼女と夫婦になろうと思う」

姉「・・・」

返事がなかった

姉は姫の寝ているところを見て魔女の部屋に行く

姉「ねぇ?」

王子「どうかした?」

姉「この人・・・また若くなってない?」

王子「・・・そうかな?」

姉「明らかに私より若い・・・お姫様と同じくらいに・・・」

王子「そう?・・・かな」

姉「ねぇ・・・この魔女とお姫さまって・・・似すぎてない?」

王子「それは俺も思ってた」

姉「・・・気持ち悪いくらいに似てる・・・もしかして」

王子「王妃と魔女が血縁関係?」

姉「・・・かもしれない・・・かな」

魔女が目を覚ます

魔女「・・・おかえり」

姉「ただいま・・・調子はどう?」

魔女「だるい・・・寝かせろ」

自分より年下の見た目に言われて言葉を失っている

姉は黙って部屋を出ていく

魔女「あまり詮索するな」

なんとなく意味ありげな気がした

姉は冷蔵庫からビールを取り出して飲み始める

姉「夕食はたのんだ」

王子「料理教えようか?」

姉「・・・いい、あなたがいれば」

王子「・・・」

姉「なんで?」

王子「何が?」

姉「せっかく自由になれたのに」

王子「そうだね」

姉「2人で逃げて2人きりでどこか別の国で生きていくこともできたのに」

王子「そうしたかったの?」

姉「・・・できたでしょう?」

王子「・・・かもね」

姉のシンプルな飾らない服装を眺める

姉「あなたとお姫さまの分も買ってある」

王子「ありがとう」

姉「着たら?」

王子「・・・そうだね」

白いシャツに黒いパンツ、普通の服だ

王族の着る服はムダが多くて重い

安っぽい代わりに軽い

服はこうあるべきだと思う

姉が背中から抱きついてくる

姉「これからどうする?」

王子「姫と魔女に相談かな」

姉「2人で逃げない?」

王子「・・・」

それもありかもしれないと思ってしまった

王子「すこしだけ時間をくれないかな」

姉「少しって?」

王子「俺の気が済むまで・・・悪いようにはしない」

姉「・・・そう」

王子「このまま逃げるにはプライドが・・・」

姉「そこは男の子なんだ」

王子「たまにはかっこつけたい」

姉「・・・そっか」

王子「結果的に逃げることになったとしても・・・そのままとはいかないよ」

魔女が起きてきた

魔女「おなかへった」

王子「いまから作るけど・・・ビール飲んで・・・」

魔女「どうかしたか?」

王子「・・・いや、ビールを飲んでいい年なのか?」

魔女「わからん、気にするな」

そういいながら缶を開ける

魔女「どうやって国を取り戻すか・・・考えようか?」

姉「のみながら?」

魔女「素面でも酔っていても結論はかわらんだろう?」

姉「武力行使?」

魔女「気が合うなお前」

姉「野蛮人と一緒にしないでください」

魔女「王族ぶるなよ、もう指名手配されてる賞金首か何かだろう?」

姉「・・・でしょうね」

魔女「まぁ、私も元は王族だったんだが・・・堕ちればこんなもんだ」

姉「・・・聞いてもいいかしら?」

魔女「聞いてもいいが・・・答えないかもしれない」

姉「無理にでもはかせるといったら?」

魔女「・・・死ぬ気でこいよ」

姉「やだな・・・冗談ですって」

食事の準備をしながら仲良くして欲しいと切に願ってしまう。