老若男女、雨人達はこのつまらない小さな世界の中で、毎日を生きている。

 慎吾の言う通り、もしこのまま戻れなかったら、俺達は一生この鳥籠のような狭い世界で生きなければならないのだろうか。

 もう一生、家族や友達と顔を合わせることはないのだろうか。

 それはさすがに、辛いな……。

「嶋原君、だよね」

 ──っと、ぼんやり思いながら廊下の西端まで来て、慎吾と並んで外を見ていると、ふと、誰かに声をかけられた。

 振り返ると、一人の女の人が立っている。

 年齢は同じくらいで、話したことはなくても、建物内で顔は見かけたことはあった。

「そうだけど」