~恵口希花~ 「俺、塩見。塩見健太、これから宜しく」 「私は石黒春菜。嶋原、宜しくね」 翌日、何度も見たやり取りを終えると、嶋原君は石黒さんから貰った授業ノートをじっと見つめる。 「もう、全然知らないことばっか」 留年だろうな、と言う嶋原君に、石黒さんは苦笑いする。 「まぁ、今は授業聞いてるだけでいいと思うよ」 本当に久しぶりに、隣の席に嶋原君が座っている。 授業中、チラチラ見ていると目が合って、嶋原君は微笑した。