当たり前じゃない。ずっと、待っていたんだから。

 いなくなってしまってから、私はずっと嶋原君のことを考えてばかりいた。

 静かで、優しい声がじんわり耳に響いて、思わずうるっとくる。

「嶋原君、明日からまた学校に来るんだよね」

『でも、半年もいなかったから、恐らく留年だろうね』

「……そっか」

『イルミネーションの写真、見たよ。綺麗だね』

「あれ、どうにか嶋原君に届かないかなって思ったんだけれど、普通に無理だった」

 言うと、嶋原君は、そうだろうね、と言ってふっと笑ったのが分かった。

『恵口、また明日、学校で会おう』

 電話を切ると、私は一人涙ぐみながら、ようやく繋がった嶋原君との着信履歴を見ていた。