…こいつが私に傘さしてくれたのか。



前は頭おかしいだのやっぱ嫌いだの

グサグサ言ってたくせに。




「…お前、なんかあったか?」


「ないよ。」


「…いや、あるだろ。
そうじゃなきゃこんな雨の中でブランコなんか乗るか?」


「……でも、冷たくて涼しいよ。
なんにも考えなくて済む。」




そう言って私は近くの水溜まりを

足でパシャパシャと遊んで見せた。




「“光輝”となにかあったんだろ。」


「…っはぁ?急になんなの?」




私は真実を見透かされて動揺してしまった。




「……言えよ。」



「…なんであんたなんかに話さなきゃいけないの。」