きっともう君には会えない

「………は…………い。」


「え?聞こえな〜い。」


「あ、天野…は……最、低な…く、クズ野郎です。」





葉津乃の声が音を出さずに突き刺さる。



一瞬時が止まったかのような


錯覚に襲われた。




強い心臓の音が鳴り止まない。








分かってた



葉津乃は本当はこんな事思ってないって





……それなのに





なんでこんなにも胸が痛いんだろう。



「へぇーー。本当に?そうなんだ?
じゃあ……こんな事しても平気だね。」



その女の子はそう言うと


何やら指を動かして

私を拘束している子に合図を送った。





その瞬間


私の重力だけが真っ逆さまに落ちていった。