「ここが夜桜高校…やっと通える…」

ずっとずっと行きたいと思っていた高校に入れた。

でも高校2年生からの高校生活。

それには理由があった。

私はつい一週間前に病院を退院してきたばっか。

そして私がこの夜桜高校に入りたいと思ったのは病室が同じだった男の子と一緒に入りたいと話していたところだからだ。

私はその男の子と一緒に花火を見る約束をした。

その花火大会は3週間後。

それまでにあの男の子を見つけなくちゃ。

〜回想〜

窓の外では綺麗な花火。

今年も同い年で健康な子たちみたいにお祭りを楽しめず病院のロビーの椅子に座って花火を見てる。

「今年は行けると思ってたのに…」

ずっとずっと窓の外で花火が見てみたいって思ってるけど私の病気はまだ治らない。

薬がないからって言う理由だから。

「…ゃん、陽夏ちゃん!」

「うん?どうしたの蛍くん」

「陽夏ちゃんも一緒に喋ろ?」

手を軽く引っ張られて話をすることになった。

そこではお祭りの話をした。

りんご飴って食べるのが大変とか虫が多くてすごかったとか、私は一回も祭り言ったことないからおばあちゃんや蛍くんたちが言ってるかとわからない。

「あら〜陽夏ちゃん。ほら飴食べて元気だして」

おばあちゃんは私が元気がないことに気がついたみたいで飴?みたいなのをくれた。

ちょっと大きいけどかぶりつく。

「美味しい…!」

「そう良かったわ~ちょうど売店でりんご飴あったのよ。これで少しでも祭り気分を味わえるでしょ?」

「祭り気分…うん。おばあちゃんありがとう!」

私は笑顔でお礼をした。

「ふふっどういたしまして」

「僕もりんご飴欲しい!」

真横で蛍くんがりんご飴を欲しそうにしていた。

「はい…」

「えっ!それはちょっと…」

急に顔を赤くしてどうしたんだろう?

りんご飴ほしそうにしていたからあげたのに。私の食べかけだけど…。

「ははっ、陽夏ちゃんはそのままでいると将来がふわんだな」

「おじいちゃんそれどうゆういみ?」

「まだ陽夏ちゃんは知らなくていいのよ。蛍くんのぶんも買ってあるからね。はい」

そう言って蛍くんにもりんご飴を渡す。

「ありがとう。おばあちゃん!」

「どういたしまして」
美味しい!

そう思いながらりんご飴を食べていると…。

「そういえば祭りの言い伝えあったよ」

「言い伝え?昔からあるやつみたいな?」

「そう言うものだ」

そんなのが祭りであるんだ。

「あぁ〜そういえばそんなこともありましたね~」

「おばあちゃんもなにかあったの?」

「えぇ。もういなくなっちゃったんだけどねおじいさんと結婚できたのはその言い伝えのおかげなのよ」

「その言い伝えすごいね!どんな言い伝えなの?」

「たしか…一緒にいたい人と二人っきりの場所で花火を見るとずっと一緒にいられるいう言い伝えだったわ」

ずっと一緒にいられる…。

「いいな…私も退院できたらずっと一緒にいたい人と花火をみたいな。」

「陽夏ちゃんは退院できるわ」

「本当?」

「えぇ。嘘なんか言わないわ」

「陽夏ちゃんに好きな人ができたら一緒にみろよ」

「おじいちゃん!」

もうはずかしい…!

「……」

蛍くんどうしたんだろう?

「蛍くん?」

「うん?どうしたの?」

あれ?いつも通り?

「あっ!なんでもないよごめんね!」

私は気のせいと想い何事もなく話す蛍くんの話を笑って聞いた。

それから何年かたって中学生になる頃に蛍くんは病院を退院することになった。

「蛍くん!」

「陽夏!」

「蛍くん退院おめでとう」

「うんありがとう」

「あの…その…」

「まだ時間あるからゆっくり話してみて」

「うん…!その祭りの言い伝え覚えてる?」

「覚えてるよ。それがどうしたの?」

「私もいつかこの病院を退院すると思うの…だから、その…退院したとき一緒に花火を見てくれませんか?その遅くなっちゃうかもだけど…」

「うんいいよ。その代わり僕からも約束させて」

約束?

「僕、陽夏の笑顔が好きだから笑顔でいること約束してね」

「うん!ずっと笑顔でいる!」

「ふふっ本当に陽夏は笑顔が似合うよ」

「えへへ。ありがとう」

褒められて嬉しい!

「ほたるーー!」

「お母さんが呼んでる。じゃぁまた陽夏が退院できた時会おうね」

「うん…!またね!」

私は遠くに行ってしまう蛍くんを見えなくなるまで見ていた。

「蛍くん…私頑張るから!」

それからわたしは勉強したり健康でいることを頑張ったりした。

そしてわたしはついに病院から出ることができたのだ。

❅•❅•❅

「すごい…学校てこんな感じなんだ」

今日から私も普通に暮らせるようになるなんて。

「原さん一緒にはいつまで来てください」

「は、はい!」

先生?みたいな人に呼ばれて一緒に教室に入っていく

「皆さん前から言っていましたが今日からこのクラスで暮らすことになった原さんです。自己紹介をしてもらいましょう!」

自己紹介!

「はじめまして!原陽夏です。一週間前に病院を退院したので学校生活はわからないことだらけですがみんなについていければいいなって思います!よろしくおねがいします」

拍手が教室に広がる。

「原さんは病院から退院してきたばっかりなのであまり連れ回さないようにしてくださいね」

「そんなことしないよ!」

「先生ひどすぎでしょ」

「俺らのことすごい問題って思ってるでしょ」

なんか明るいクラスだな。

「あ!先生私の席ってどこですか?」

「原さんは紅咲(あかさき)さんの…今てあげているこの隣ね」

「はい!紅咲さんお願いします!」

「よろしく。ためで話してくれていいし恋華(れんか)って呼んで?」

「恋華…ちゃん!」

「うん」

ぱぁぁ

「私学校でできる友達初めて!」

「陽夏の初めての学校の友達嬉しいな」

学校に来てから早々友達できるなんて!

「よし!原さんと紅咲さんも仲良くなったようだし良いとして6限目は自己紹介から始まるから~みんな考えておいてね」

朝の会は終わった。

みんなの自己紹介…楽しみだな〜。

「ねぇ陽夏はどうしてこの学校に来たの?」

「え?」

「それ私も気になる!あっ!私咲凪浮葉(さなきふわわ)です」

「浮葉ちゃん!よろしくね!」

「はいよろしくお願いします!」

「それより陽夏がこの学校に来た理由は?」

「それはその…私が病院にいたときに病室がおんなじだった子がいるんだけどね?」

「うん」

「その子…名前蛍くんっていうんだけどその子とね高校行くなら夜桜高校に行きたいねって話てで、もしかしたら蛍くんがいるかも知れないからこの高校にきたの!」

「へぇ~色々あるんだね」

「浮葉それより蛍って氷の皇帝のことじゃない?」

「はっ!そういえば!氷の皇帝の名前蛍でしたよね」

「蛍くんに心当たりあるの!?」

「ていうかおんなじクラスなんだよ!」

蛍くんとおんなじクラス!

「ふふっ嬉しいな…。」

「「うぅ…眩しい」」

「え?二人共どうしたの?!大丈夫?」

「大丈夫」
「私も大丈夫です」

二人共大丈夫そう?

「そういえば蛍くんとおんなじクラスって言っていたけど蛍くんいないよ?」

「当たり前よ。氷の皇帝はなんかの用事が大変でなかなか朝はこないのよ。でも休憩時間くらいには来るそうだから安心して」

「家の用事って蛍くん御曹司だからかな?」

昔私に「僕は御曹司なんだよ」って言って話してくれてたし。

「えぇ!?氷の皇帝って家柄いいとは思ってたけど本当に御曹司だったの?」

「え?蛍くんの家結構有名だったよ?」

「氷の皇帝の名字知ってる人なんていないよ名前は辛うじて知ってるけど」

「そんな事あるの?!」

「それがあるんだよ。名字で呼ぶなとか蛍くんって呼ぶなとかあってあだ名の氷の皇帝って呼んでいる人が大半だからね」

「いまさっきから言っている氷の皇帝って蛍くんのことなんだね」

「陽夏ちゃんは蛍くんかもしれないけどこの学校に通っている人たちは氷の皇帝って言ってるからね」

「なんか蛍くんのイメージ固くなってるんだね」

「固くなってるとかじゃなくて固いの」

「あっ!そろそろ座らないとまた後でね恋華ちゃん、陽夏ちゃん」

浮葉に向かって手をふる。

そうして初の授業が始まった。

どの教科の先生も優しそうだった。

そして6限目すぐに先生が何かを持って教室に戻ってきた。

「ちょうどくじ引きの箱があったからここに数字入れてそこからひくから恨みっこなしだからね」

「なるべくはやめがいいな」

恋華ちゃんは小さい声でそういった。

「よし!これに決めた!えーっと19番!」

「あっ!俺だ!」

大きい声で19番の人が立ち上がった。

「俺は舞田奏輝(まいたかなき)!奏輝とかで呼んでくれ!好きなことはバスケとかスポーツが好きだ!よろしく」

「奏輝くん!」

「おう!」

「男友達二人目だ!」

「なんかわからないけどここにいる人たち全員陽夏の友達だ!」

「友達!」

一気に友だちができるなんて!

「くじひくからね。はい3番!」

「私だ!」

3番は恋華ちゃんなんだ。

「紅咲恋華。すきなことは読書とかだと思う」

「私も本好きだよ!」

「へぇ~趣味合うね」

「うん!」

そんなこんなで自己紹介が終わろうとしていた。

「13番」

「あ!やっと私だ!え〜っと咲凪浮葉です。好きなことは動物とかを見ることです」

「浮葉ちゃんは動物好きなんだね!」

「はい!大好きです!」

動物のことについて話す浮葉ちゃんが可愛い!

「星ノ宮さんは今はいないから…ってあらちょうどいいタイミングで来たね」

先生が話すタイミングと一緒くらいのときに男の子が入ってきた。

「…なんですか……」

「ほら新しいクラスメイトに自己紹介をしてね」

「はぁ…星ノ宮蛍…」

やっぱり!

「趣味とかは?」

「なんで教えないといけないんですか?」

性格とか変わってるけどやっぱり目の前で先生と話しているのは…。

「仲を深めるため…原さんどうしたの?」

「原…」

「ねぇ貴方蛍くん?」

「…誰?」

「私陽夏だよ。ほら病院で一緒にいた。花火一緒に見る約束したじゃん!」

「人違いじゃない?」

「そんなことないよ!人違いなわけない」

「あっそ。それより邪魔だからどいてくれない?」

「え?あっごめんね」

邪魔…か。

「原さんと星ノ宮さんごめんだけど一回座ってね。授業終われないからね」

「あぁ…ごめんなさい」

そう言って席に座っていく。

「じゃぁみんな自己紹介も終わったところだけど、まだ時間はあるからなんかしたいことある?」

「自由でよくないですか?」

「いやそれだと私が怒られるんだよ」

「先生にも色々あるんですね。お疲れ様です」

先生が無言で近づいてくる。

私なにか言ってはいけないこと言っちゃった?

「…原さん!君だけだよ~私のこと気遣ってくれる子」

「そんなことないと思いますよ?ねぇ恋華ちゃん」

「え?うん?」

「苦笑いしないでよ〜先生傷つくぞ~」

「生徒に抱きついている時点で大人のプライドに傷がついてますよ」

「恋華ちゃんあんまりそんなこと言っちゃ駄目だよ?先生だって疲れたり傷つくことがあったから私に抱きついていると思うよ」

「天使だ!」

誰かがそういって感染していくかのように。

「天使が降臨なさった」

「天使いや女神だ!」

「なんの騒ぎですか?」

私だけおいていかれてる?

「陽夏ちゃんが癒やしの女神ってだけだよ」

浮葉ちゃんがそういうけど…。

「私のどこが癒やしの女神なの?」

「原さん。そういうところも素敵だよ!本当に嫁にしたい」

「先生女の人だから私達結婚できませんよ?」

「陽夏問題はそこじゃないと思う」

なんだかんやわちゃわちゃして今日の授業は終わった。

カバンに持ち帰るものなどを入れ終わった時に恋華ちゃんが話しかけてくれた。

「陽夏の家ってどこらへんにあるの?」

「桜町の3丁目かな」

「え!私も桜町5丁目だし浮葉も桜町7丁目だったよね?」

「えぇ私も桜町ですよ!一緒に帰ることができますね」

一緒に帰る!

「いいの?!」

「いいに決まってるでしょ」

「それなら私、恋華ちゃんと陽夏ちゃんと一緒に行きたい店があるんです!」

「寄り道!行きたい!」

「じゃぁ行こうよそのいきたいお店」

「うん!」

「よし!蛍くんまた明日ね!」

「……」

何も返してくれないか…。

「陽夏、行かないの?」

「今いくよ!」