「ーー…、へ」



思わずすっとんきょうな声が出たのは、許してほしい。



ーーーこの甘えたは、一体だれ?




うりうりと私の背中に頭を埋める彼は、本当に涼なのか。



あまりの可愛さに胸が高鳴って、ふわふわと頭をなでると、気持ちよさそうに涼の目が細められた。



「~っ」



か、かわいい……。



もう「だれ?」とか言っている場合ではない。



「ーーあーあ、またふたりの世界入っちゃった。日葵は寂しいよー」



呆れたような日葵の声が遠くから聞こえる。


付き合いはじめた当初は



『よかったねえ…おめでとう…!君たち拗れに拗れまくってたから……うぅ』


『ありがとう、日葵が背中押してくれたおかげ』


『そんなの言われたらもっと泣いちゃうじゃんかあ~……!』



なんて、すごーく応援してくれたのに今はこの呆れ顔。

慣れたのかなんなのか。



「……あっ、寝ちゃだめ涼……!今から終業式だから体育館集まらなきゃ」


「んー」


「……いっぱい、一緒に思い出作ろうね」


「……うん」



夏の大イベント、夏祭りが終わり


ーーついに、夏休みがやってくる。