ーー……



「ーーお、穴場発見」


「……わあ…!」



誰もいない。だけど花火が打ち上げられるところがよく見える、そんな場所。



「なんか、夏祭りで羽衣と手繋いでると昔のこと思い出す」


「ーーーえ」


「こうやって、羽衣が迷子になったとき繋いだじゃん?」



繋いだ。私が迷子になって、手を引いてくれた。

それより、それよりも。



「覚えてたの……?」


「覚えてるに決まってんじゃん。俺らが初めて夏祭り行った日だし」


「……っ」



「その時よりも前から、ずっと好きだよ」


「ーーーっ」



ぽろ、と予兆がないまま零れた一粒。


それを機にぼろぼろと溢れ出した。



「…え、羽衣……?」



「さっきの人たちめちゃくちゃ怖かった?」とおろおろする涼に、ぶんぶんと首を横に振った。


もう、溢れて止まらないの。


この思いをなくすなんて、やっぱり無理だった。




「…………すき」


「え?」


「……っ私も、ずっと涼のこと好きだった」


「……それ、ほんと?」


「…うん、本当」