矛盾したような、ぐるぐると駆け巡るよく分からない感情を瞳に張られた膜と一緒に閉じ込めて、顔を上げた。



「……、」



ーーああ、やっぱり私はばかだ。



こんなにも顔を歪めている彼が、私と夏祭りに行くなんて、そんなことあるわけないのに。



私ばっかり、彼に対するいろんな思いを積み重ねているだけ。



「…やっぱ、いまの」



なしで、って怖じ気づいて言おうとしたした続きは、彼の言葉によって遮られた。



「ーーー行く」



「……、っへ」



びっくりして、何秒か固まってたと思う。
その証拠に、すっとんきょうな声が飛び出た。



「……いいの?」



本当に、これは現実なのか。
わからなくなってきた私は、何度も彼に尋ねてしまう。



「ーーーいいよ」



安心させるように見せてくれた微笑みは、気のせいなのかそうじゃないのか。