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「…っ、涼…っ!」




夕暮れの空をを見上げながら帰り道を歩くと、今まさに玄関へ入ろうとする涼の姿を見つけて、思わず声をかけた。



「……なに?」



そう答える彼は、いつもよりも眠たそうに私の声に応えた。



そしてわざわざ、丁寧に私のもとまで来てくれる。



その優しさは、いつまでも変わらないんだね。



話を切り出そうと口を開けるけど、緊張で上手く声が出ない。



「……ゆっくりでいいから」


急いでないし、


そう言った彼に私は視界が少しぼやけて、それを見られないようにうつむきながら彼のシャツをきゅっと握った。



「…えっと、…夏祭り、いっしょに行かない…っ?」



ーー自分がばかなんじゃないかって、つくづく思う。



涼は、私のことが嫌いなんでしょ?

だから突き放したのに。



なんでそんな相手に、私は夏祭りの誘いをかけているのかって。