「べつに、涼とお祭りに行きたくないわけじゃないよ……」


「行きたくないわけじゃないって……要するに、行きたいんでしょ?」


「…………」


「はっきり言いなさい~!」


「っ、……いきたい」


「よろしい」



日葵に頭をぐりぐりと撫でられて、ちょっと痛い。

だけどここまで私みたいな面倒くさい奴に付き合ってくれるひと、他にいないと思う。



「……うう。正直に言うと…涼、とお祭り行きたい……よ」



廊下でたくさんの人に囲まれている涼を見つめながら。

涼はいつも、女の子とも男の子とも楽しそうで。



っ、あ……。



すごく、距離が近い。胸のあたりにもやがかかったみたいに重くなる。



「……やっぱり、いやだ」



お祭りに対してなのか、涼と近い女の子に対してなのか、自分でもよく分からない。




でも、不器用で意地っ張りな私は、たぶんどっちも思ってる。