「ほんと、拗れてるなあ……」


「え、ごめんなんて?」


「なんでもない。……もう、どうしてこんなことになってるんだか……」


「よくわかんないけど、とりあえず日葵助けてよ~……」



やれやれという風に頭を抱えている日葵。……私だってやれやれって気持ちだよ。


縋るように見つめる……が、



「今日はバイトだからごめんっ。今日天気悪いから、雨降る前には帰りなよ~!」


「……うぅ…そんなあ……」



ぱたぱたと教室から出ていく日葵をじーっと恨めしく見ることしかできない。


……仕方ない、やるしかないよね。


分からない問題だらけな気がするけど、頑張らなきゃ。



……涼だったら、一瞬で解けちゃうんだろうな。


あんな無気力マイペースなくせに、頭はめちゃくちゃ良いんだから。


分からない問題教えてくれるときも凄く丁寧に教えてくれて分かりやすいしーーー。



「ーーって、だめだめ。涼のことはもう考えないって決めたもん」




考えないようにしていても、いつの間にか私の頭はいつも君のことばっかり。



いつの間にか、ぜんぶ君に支配されてる。




「……涼なんて、もう知らない」




そのたびに呟く言葉は、いつもこれ。