「…心臓は、間違いなくアキラ君に反応してるし、手も…繋げて嬉しいの。」


由里がそう言うと、アキラは分かりやすく嬉しそうな表情を見せた。


「じゃあ、恋愛対象として見てもらえてるって思っていいんだよね?彼氏になれる可能性はあるってことだよね?」


アキラが縋るように尋ねてきたので、観念した由里はコクリと頷いた。


「やった!」


アキラは由里の手を引っ張って由里を体ごと引き寄せると、路上であるにもかかわらず、その場でギュッと抱きしめてきた。
すれ違う人達がチラチラとこちらを見てくる。


「ちょ、ちょっとアキラ君!公衆の面前でやめて!」


真っ赤になりながらも由里がそう注意すると、アキラはパッと離れた。
由里に怒られたが嬉しそうにしている。


「俺、由里さんの彼氏になれるように頑張るよ。」


二ッと歯を見せて笑うアキラは、少年のような無邪気な表情を見せると、由里の手をもう一度取り、映画館の方へ向かって歩き出した。