しばらくアキラに手を引かれるがまま歩いていると、突然、アキラが立ち止まって由里の方を振り返った。


「あ、ごめん由里さん。ちょっと早か…」


そこまで言うと、アキラは耳まで真っ赤になった由里の顔を見て、硬直した。


「由里さん、もしかして俺と手繋いで照れてるの?」


ストレートにそう聞かれ、由里は思わずブンブンと頭を振った。32にもなって、年下と手を繋いで照れているなんて、恥ずかしすぎて知られたくない。


「ちがっ…そのっ…久々に男の人に手を握られたから、恥ずかしいというか…」


「でも、俺に手を握られて嫌ではないってことでしょ?」


「ま、まあ…そうかな…」


由里が俯いたまま、反射的にそう答えると、アキラは由里の手をキュッと握り直してから、顔を覗き込んできた。


「そんな反応してくれるってことは、由里さんが俺のこと、恋愛対象として見てくれてるんだって思っていい?」


「え?」


由里が思わず顔を上げると、アキラの顔がすぐそばにあった。