「ただいま…」と小さな声で言ってみたが、アキラの反応がないので、由里はソファの前に回り込み、そっと様子を見に行った。
アキラはソファに座ったまま、首を傾げた状態ですうすうと寝息を立てて寝ていた。
——口が開いてる。
イケメンの無防備な表情に、由里は思わずふふっと笑ってしまった。
起こさないよう、慎重にクッションへアキラの上半身を預け、足をソファの上に持ち上げた。
——おもっ。
肩にかけていたバックがずり落ちてきたので、バッグを床に置いて、再度足を持ち上げてみる。
なんとか持ち上げてみたものの、長身の彼にソファは狭いようで、思いっきりソファの端からはみ出してしまった。
——足ながっ。
由里はまたふふっと笑いながら、アキラの顔を眺めてみた。
相変わらず綺麗に整った顔立ちをしている。開いていた口はいつの間にか閉じていて、ますます寝顔が綺麗だ。