エレベーターを降り、部屋の前に着くと、鍵を開けて中に入る。


「ただいまぁ。」


「おかえりなさい、由里さん!」


リビングに続く入口からひょっこり顔を出したのは、身長181センチの細身男。


肩まで伸ばした黒髪をハ—フアップにした彼は、由里より8歳年下の24歳。


童顔で髭も薄いので、由里が最初に出会った2か月前は高校生と見間違った程だった。


帰宅した由里を見て、ニコニコしている彼の顔は、まるで飼い主を待ちわびていた大型犬のようだ。


しっぽがついている…ように見えなくもない。


「アキラ君、ただいま。ごめんね、遅くなって。」